「課される」or「課せられる」?

断片部のほうに書こうと思ってたんだけど、意外と長くなったし、最近ここを更新してなかったのでこっちにアップします。

2000円以下の科料が課せられます。

というのを某駅西口で流れている放送で聞いた。む、と思った。当然「課される」という言葉が続くだろうと思っていたので。

「課す」ってサ行五段活用だよね?

とすると、やっぱり「課される」の方が正しい。たとえば同じサ行五段活用の「落とす」なら、「落とされる」となるはずで、「落とせられる」とはいわないし。文法的にも、「れる」は五段動詞の未然形に接続するので、正しい。

でも実はサ変の「課する」もある

とすると、「課せられる」は正しい。文法的には「られる」はサ変の未然形「せ」に接続する。

んー、でもちょっとまて、サ変には未然形がもう一つある

「する」のもう一つの未然形「さ」には「れる」が接続するので、「課される」というのは、二重に正しい*1。さらにいえば、「せ+られる」というのは感覚的に文語調の文章で用いられるものであって、普通は「さ+れる」を使うと思う。たとえば、「抵抗する」なら、「抵抗せられる」ではなくて「抵抗される」を使うように。

どっちが一般的?

では、以下ではサ変の「課する」についてちょっと考えてみたい。「課される」と「課せられる」のどっちの方が一般的なのだろうか? google先生の調査によれば、google:課される]は約552,000件、[google:課せられるは約576,000件で、自分の実感とは異なり「課せられる」に軍配が上がった。

でもこれじゃあ引き下がらないぞ、ということで、他の「体言+する」型の動詞について、「される」と「せられる」のどちらが多いかも調べてみた。選んだ言葉は適当。

  される せられる
利用する 1,330,000 318
推薦する 179,000 6
プレゼントする 545,000 0
抵抗する 274,000 2
心配する 815,000 8

とまあこんな感じで、「せ+られる」というのはとても少ないみたい。これは自分の実感にも合致する。

結論

個人的には「課される」の方が自然だけど、「課せられる」と言うのは同じくらい一般的なようだ。不思議なのは、他の「体言+する」型の動詞では圧倒的に「さ+れる」が多いのに、「課する」という動詞については「せ+られる」という使い方も一般的なことだ。

*1:だからと言って正当性が2倍になるわけではまったくない。