web上の調査は、あくまでweb上の調査であることを一度留保した方がいい

 【日本人の約8割がメガネを所持、約半数が2〜3本所有 - nikkeibp.jp - 注目のニュース】より。このニュースを見て素直に「日本人はやっぱりめがねが多いんだなあ」と思ってしまった人、いませんか?

 よおく読んでみてください。重要なことがありますねえ。ヒントはここです。

調査は、3月8日〜14日にかけて、オンラインでアンケートを実施したもの。10代〜60才以上の男女7815人から回答を得た。

 わかりましたか? 重要なこととは、「オンラインでアンケートを実施したもの」という部分です。要するにこの調査は、インターネットをしている日本人を対象としたアンケートな訳です。すると、この調査の母体は統計的に偏ってるかもしれません。つまり、PCのしすぎで目が悪い人がいて、その人がめがねを使っているとかそういったバイアスが考えられるわけです。これが無作為抽出の電話調査だったら、結果が大きく変わっていた可能性がある程度の確度で考えられるのですよ。だから、「日本人の約8割」という日経bpのタイトルは不適切です。

 これは非常に分かりやすい例ですが、このようにweb上のアンケートや統計調査というのは潜在的に偏っている可能性があります。ディジタルディバイド、なんてものが言われる世の中ですから、これは無視できない要因です。しかし、重要なのはすべての統計調査を信頼しないということではありません。そんなことしてたらきりがないですね*1。重要なのは、信用に足る条件を満たしているかを逐一判断していくことです。もちろんその基準は究極的には個人差があるわけですが、ある程度の社会的合意が得られるでしょう。web調査で言えば、たとえばwebで調査したことがあまり影響を及ぼしたとは考えられない場合、などですね*2

 他の例を挙げると、たとえばid:ululunさんが人力検索はてなを使って社会的ジレンマの調査を行っていますが、これも一度「web上のサービスである人力検索はてなを使った結果」と一度留保する必要があるでしょう。直近の調査は「匿名掲示板に対する信頼」を調べたかったとのことなのでインターネットをしている人そのものが対象だから大丈夫、と思われる人もいるかもしれませんが、そのインターネットをしている人のうち人力検索はてなを使っていて、かつ回答期間中にそれを見つけた人、という条件がつきます。それに対してどう評価を下すかは個人ごとにお任せしますが*3

 というわけで、ちょっとしたメディアリテラシー(情報のリテラシー)のお勉強でした。

*1:自分の存在ですら危うくなります。

*2:これでもかなりあいまいですが。

*3:個人的には別に問題ないとは思いますが。それに非常に興味深い調査だと思います。