ネットイナゴが問題だって? それこそまずはてブで過去の議論を読み返すべきじゃないのか

 ネガティブコメントやネットイナゴがはてブで問題にされているようですが *1。この話題は今まで何度も何度も繰り広げられては忘れ去られていった話題なわけです。新しいユーザーの皆さんなら「そんなの知らないよ」というのが当然でしょうが、はてなスタッフが何をいまさら言っておるのだ、というのが正直な感想です。


 自分のブクマをちょっとあさっただけで、はてブはてブコメントをめぐる議論というのはわさわさ掘り返せます。まずはこういった議論をまとめなおしてみるくらいはしてもいいんじゃないでしょうか。そもそも「ブックマーク」っていうのは過去に重要だと思われたものを保存しておくのが主目的だったのでしょうから、そのために使わなくて何のブックマークなんだという気もします*2。それに、今は「このエントリーを含むほかのエントリー」という仕組みがブクマエントリページにあるのですから、関連した話題は芋づる式に引き出していけるのですし。


 また、はてブのコメントをめぐる論争は、コメント論争のみにとどまらず、はてブアイデンティティーそのものにかかわってくる問題だと思います。たとえばこんなエントリを発掘しました。

はてブにおける最大の疑問があるのはこういうところ。5000件登録して、後から読み直せるのかどうか? というか、何を登録したのかすら忘れてしまうのではないだろうか?

やっぱり、興味を持った記事に対する「投票装置」と、その「投票結果」と見る方が正しいのかな?

 さて、現在、4000件を越えるブクマを登録した私が来ました。
 はい。はっきりいって忘れています。で、自分の中での意味を説明しますね。

1:資料の収集
2:age.
3:コミュニケーション
4:投票
5:その他
6(追加):他人の感想を知りたいとき

とまあ、自分は自分の思惑だけで複数存在し、別のユーザーは別のユーザーの思惑で動いていることでしょう。そういう多面性も、はてぶの売りなのではないか、と考えています。

2006-02-13

上記引用の2・3・4・6にはコメントが関連してくるでしょうし、また「多面性」というのもコメントが生み出す部分があるでしょう。そしてもちろん他の要因も絡んできているはずです。コメントだけでなく、みんなが漠然と思っているはてブの長所や短所を、一度網羅的にまとめてみて、それから初めてどうすれば良くしていけるのかという議論が始まるのだと思います。


 話は前後しますが、突然に

今後のはてなブックマークのことを考えて、やはり目を背けていてはいけないことだと思っています。これまで聞こえなかった声を伝える、感動を与える、正しいことを知ることができるコミュニティとして作ったものが、誰かの表現や意見を抑え付けるために使われてしまうというのは、作り手として悲しいと感じるようになりました。「作ってよかった」と思い続けられるシステムであってほしいと思います。

と、こんなことを言われても、正直「今気になったから考えてるフリしてるだけ」みたいに見えちゃったりするんですよ。過去にはさまざまな議論があったはずなのに、そのときには表立った対応は見せず*3、世間的にちょっと著名な人が「ネットイナゴが云々」と言及しただけでこの対応振り。「ユーザーのみなさんとの対話を行って改善していく」ですって? じゃあまずはユーザーの皆さんがどのように考えていたのかを調べてみてはいかがでしょうかね。


 はてブが、開発者に、「ブックマーク」として利用されていない(ように見える)のがちょっと不憫です。ブックマーカーやブロガーが繰り広げた過去の議論が省みられないのもまた不憫です。ちょっと見返しただけで、さまざまなすばらしい考察や見解が見つけられるのに、なんとなく無視されてしまうのがたまらなく口惜しく思います。「目を背けていてはいけない」のは、コミュニティの問題ではなく、はてブの過去の蓄積そのものではないでしょうか。

*1:ちなみに、ネットイナゴ現象とは、本来はコメント欄がまるでイナゴの大群に襲われたようになることを指していたはずですが、コメント欄に順ずる場所にも適用されるようになったみたいですね。

*2:もちろん、現在でははてブの使い方は多様化していますよ。念のため。

*3:しなかったとは言いません。